パッションフルーツ 果実-夏には涼しい緑のカーテンを育てる-イパネマおやじ
パッションフルーツ (Passion fruit) は、熱帯アメリカに約400種類が分布するトケイソウの仲間です。仲間の中で、最も食用果実として適している種で、実が食べられるつる性常緑低木です。葉は大きく10~15cmで、トケイソウの中では小さい花を咲かせます。糸状になった副花冠の先端がよじれるように伸びます。
緑のカーテン仕立てはネットに誘引する
- 分類:トケイソウ科トケイソウ属 / 原産地:ブラジル
- 別名:くだものとけいそう(漢字表記:果物時計草)
- 学名:Passiflora edulis
- 園芸分類:つる性常緑低木 / 耐寒性(弱い)、耐暑性(強い)
- 樹高:50~300cm
- タネまき適期:5月~9月(6月~7月は除く)
- 苗の植え付け:4月~6月
- 植え替え:4月~5月
- 挿し木適期:6月~7月上旬
- 開花期:5月~9月
- 栽培方法:地植え、コンテナ(プランター、植木鉢) ※記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。(寒冷地、暖地では、環境に合わせた栽培を確認してください)
- 特徴
- パッションフルーツは、南米亜熱帯地域のブラジル原産の果樹です。時計の文字盤に似た花形をしていることから、別名が果物時計草(くだものとけいそう)とも呼ばれます。日本へ渡来したのは明治の中頃ですが、広くに栽培されるようになったのは戦後になってからです。果実は甘酸っぱく、強いトロピカル風の香りがあります。
- 葉は、夏の暑い時期でも縮れずに秋まで元気な状態を保ちます。夏の強い日差しを遮り、日陰を作るので「緑のカーテン」と呼ばれます。定番の、アサガオ(朝顔)やゴーヤなどと比べても、清涼効果プラス果実の収穫までできるので、近年人気がたかまっている植物です。
- 近縁種(品種)
- パッシフロラ・エドゥリス (Passiflora edulis)→ 当ページに掲載している品種。
- パッシフロラ・アラタ (P. alata)→ 別名が、ブラジルトケイソウ、ゴールデンリリコイ。果皮は黄色で、酸味がほとんど無くて甘味が強い。名前の由来の通り、黄色い果実がなるのを形容して「ゴールデンリリコイ」と呼ばれる。
- パッシフロラ・クアドラングリス (P. quadrangularis)→ 別名が、オオミノトケイソウ(大実の時計草)やジャイアントグラナディラ。仲間の中では、最大の実を付ける。果皮は黄緑色で、果実は20~30cmの大形になる。自家結実性はあるが、他品種を近くに植えた方が結実しやすい。同種の枝変わりで「エロティカ」という品種もある。
- 善翁桜(ぜんおうざくら)→ 新潟で作出された品種。「オオミトケイソウ」と「アラタ」を掛け合わせて作出されて新品種。果実は細長く長さが約18cmの大形でボリューム感あり美味。自家結実しないので、他品種の受粉樹を近くに植える必要がある。
根張りが旺盛なのでコンテナサイズは大型で
- 適応(ハーブ、漢方としての適用)
- なし
- 料理・飲み物で楽しむ
- 生食、デザートの食材
- 用土
- コンテナのの場合、丸鉢は直径30cm以上、プランターの場合は65~90cm。市販の果樹用培養土または赤玉土(小粒)3:腐葉土3:鹿沼土(中粒)2:バーミキュライト2:の割合で混ぜ込んだ土を使います。
- 肥料
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として骨粉入り油かすや緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、月1回チッ素を多めに含む緩効性化成肥料や骨粉入り固形油かすを置肥します。
- 植物の根に直接肥料が触れないように注意しましょう。真夏(7月~8月)の施肥は控えます。株が生長したら、リン酸を多めに含む化成肥料を施しましょう。
- 肥料の3要素は、チッ素分(主に葉を生長させる)、リン酸分(花や実を生長)、カリウム分(根を生長)です。
- タネまき
- タネを包む半透明のゼリー状仮種皮に、発芽制御物質が含まれているので、よく水洗いして取り除いておきましょう。発芽適温25℃前後で、発芽まで半月~1ケ月半程かかります。発芽までの間、乾燥させないよう水切れに注意しましょう。
- 適期は、5月~9月(6月~7月は控えたい)です。箱まき(セルトレーが便利)かポリポットまきにします。箱まきの場合は本葉が2~3枚になったらポリポットに仮植えします。ポリポットに根が回ったら花壇や鉢に定植します。ポリポットまきも同様に、本葉が5~7枚になったら、鉢やプランターに定植します。
- 植え付け
- 苗の植え付け適期は、4月~6月です。根をよく張るのでなるべく大型の容器がよい。春~初夏の時期に、苗が流通します。
- コンテナのの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「元肥」の項目で用意しておいた先程の土を鉢に戻して定植します。植え付け直後にタップリの水を施します。(鉢は7~10号に1株、80cm型プランターだと1~2株が目安)
- 植え替え
- 適期は、4月~5月です。
- コンテナの場合、根詰まりを防ぎ通気をよくするために鉢から根が伸び出てきたら、1~2年に1回を目安に行いましょう。新しい用土と元肥を入れた1回り大きな鉢に植え替えます。(用土、元肥は植え付けと同じ)
- 挿し木
- 適期は、6月~7月上旬です。新芽の先端を2~3節の長さで切り取り、挿し穂にします。(挿し木の詳細ページ)パッションフルーツはとても樹勢が強いので、切り取った枝を花瓶に水を入れて、浸けておくだけで1~2週間で発根します。これを、そのまま用土に挿しても育ちます。
人工的に授粉が必要です
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いたらタップリと水を施します。夏の高温期は、朝夕2回施すくらいでもよいでしょう。生育期を過ぎて、冬になったら乾かし気味にして、月間2~3回施します。
- 手入れ
- 人口授粉→5月頃から開花が始まるので、開花したら人工授粉をします。花は早朝から咲き始めますが、1日花なのでその日の内に人工受粉を済ませましょう。晴れた日の午前中に行うと成功率が高いです。筆を使って雄しべの花粉を雌しべの先端に付けます。(雌しべの先端は、3つの柱頭がある)ポイントは、品種の異なる花粉を使う方が良質な実ができます。
- 防寒対策→日当たり、風通しのよい場所へ移しましょう。生育適温は20~30℃です。
- 支柱立て→鉢植えの場合、行灯(あんどん)仕立てにすると育てやすいです。プランターの場合、オベリスクやトレリスに誘引すると、株のまとまりがよくなります。(行灯仕立て:アサガオの栽培によく使われる支柱を使うとよい)
- 剪定→適期は、春先の3月下旬~4月です。混み合った枝を間引き剪定します。茂り過ぎや、収穫後に剪定する場合は、長い蔓が分かれた部位の2節上で切り戻します。
- 摘芯→蔓が長く伸び過ぎたら、先端を摘芯して蔓の数を増やしましょう。
- 切り戻し→適期は、植え替え時期の4月~5月です。枯れた蔓はすべて切り取って、株全体の1/2の長さに切り戻します。(一度実が付いた個所からは花芽が出ないので、実が付いた枝は切り戻す)
- 病気→疫病
- 害虫→カイガラムシ
- 日当たり
- 日当たりのよい場所を好みます。春~秋の時期は、屋外の日当たりのいい場所に置き水切れに注意しましょう。
- 日当たりが悪いと、花芽が付きにくくなります。花芽が付き出したら、直射日光に当たるように蔓を誘引しましょう。(気温が、13℃以下、30℃以上になると果実が落果したり、蕾が黄色くなり落ちることがある)