挿し木や接ぎ木、とり木、株分け、分球、メリクロンなどで増やす繁殖を栄養繁殖と呼びます。親と同じ遺伝子を受け継ぐため、親と同じ性質、形状のものができます。

京成バラ園の風景

挿し木で増やす

植物からとった種子で増やす事を種子繁殖といいます。原種であれば親とほぼ同じものが出来ますが園芸品種の場合は、遺伝子が複雑に混ざっているために、親と同じものにならない場合があります。

  • 挿し木(挿し芽)とは
  • 葉、枝、根など植物体の一部を切り取り用土に挿して、発芽、発根させる栄養繁殖の用法です。
  • 木本植物の場合を挿し木と呼び、草本植物の場合は挿し芽と呼びます。
  • 種類により発根が可能なものと難しいものとがあります。根が出にくい植物では発根促進剤を利用する方法もあります。
  • 挿し木の特徴
  • 親株と同じ性質の苗が得られます。
  • 種子まきをするより、茎がある分だけ早く大きな苗を得ることが出来ます。
  • 種子から育てた実生苗より、開花、結実が早まります。
  • 種子まきと違い、一度に生産できる数は、採れる挿し穂の数で制限されます。
  • 実生苗、接ぎ木苗に比べ直根が少なく浅根性のため、短命のものがあります。

挿し木上手になるために

木本植物では、切り口は斜め45度、または左右両方面からくさび形に切ります。

草本植物では、茎を斜めに切ると、用土にさすときに先端部分を傷めるので、水平に切ります。鋭利な刃物で切ると、切り口の回復が早まり発芽率が良くなります。挿す深さは、挿し穂が倒れないように2cm程度を目安として、竹ばしやピンセットを用いて真っすぐに挿します。

その後は用土を軽く押さえ、水やりの際に挿し穂が倒れないようにします。育苗箱などに用土を入れ、あらかじめ表面だけに少し水をかけて湿らせておくと、用土がくずれずに挿しやすくなります。

節の5mmくらい下で水平に切ると発根しやすい

挿し木 その1

下部の葉を取り除く

挿し木 その2

葉面積の大きい葉は、蒸発を防ぐために残した葉を1/2に切る

挿し木 その3

※カットが終ったら、切り口が乾く前に挿し穂を水に浸けて十分吸水させます。

挿し穂の管理はどうするのですか?

  • 一般的な管理
  • 土壌水分を一定に保ち、挿し穂の葉のしおれや倒伏を防ぐ
  • 風の当たらない、明るい日陰で管理する土の表面が乾き始めたら十分に水やりをする
  • 底面給水法
  • 発根に必要な養分や植物ホルモンは葉で作られるので、蒸散によるしおれを防ぎ、その植物の生育にあった明るさで十分光合成をさせることで、早い発根を促す
  • 育苗箱や鉢に挿し木を行い水をためた受け皿の上において常時底面から給水される状態で、明るい場所(植物により屋外でも可能)で管理する
  • ミスト繁殖
  • 施設内で一定の明るさ、空中温度、土壌水分を保ち、穏やかな環境を作って発根を促す挿し木苗を大量に養成する場合に適する
  • 一定時間ごとにミスト(霧)の出る装置で管理。発根し始めたらミストの間隔をあけ空中温度を下げていく

密閉挿し

風雨を避け、一定の空中温度を保ち、穏やかな環境を作って発根を促す

密閉挿し

挿し木後、光が透過する透明なプラスチックフィルムなどで、挿し木床を完全に覆う管理方法です。空気中の湿度を高めて葉のしおれを防ぐだけでなく、保温効果もあります。密閉しているため、蒸散が抑えられ、発根まで水やりの回数が少なくてすみます。挿し木の適期ならいつでもできますが、秋から冬の気温が下がりかけた頃に行うと、保温もされるのでより効果的です。

密閉挿しに適した種類とテクニック

本来は、高温多湿を好む植物・熱帯・亜熱帯原産の多い観葉植物が適しています。ポトス、アガベベンジャミンゴムなどを増やすときに適しています。高温多湿に強い、ハーブの仲間ではミント類、バジルなどを10~11月の気温が下がってきた時期に挿すのに適しています。成功率をより高めるには、葉が老化していないこと、カビ発生の心配の少ない茎の中央より上部の新しい葉がついたものを使いましょう。

  • 管理のポイント
  • 覆っているフィルムの内側に水滴がつき、中の様子が見づらいため、次のようなことに注意して観察を欠かさないようにします。
  • 挿し穂に病気がないことを確認します。→多湿になるので病気が発生した場合に、スグに広まってしまうためです。
  • 明るい日陰で管理しましょう→屋外では密閉した内部が高温になる場合があるためです。
  • わき芽の発芽や発根が始まったらフィルムに穴を開けるか、ふたをずらします→7~10日くらいの間に徐々に空中温度を下げ、通常の温度に慣らします。発根したら、茎が徒長しないようにフィルムやふたを取り除きます。

挿し木から発根の仕組み

「切り口にカルス(癒着組織)ができて、切り口がふさがる」

挿し木 その5

「葉で作られたオーキシンや栄養分が下降する」→参考:オーキシン(auxin)・植物ホルモンの一種で細胞の生長を促進させる

挿し木 その6

「オーキシンの働きで形成層に根原体(根となる物質)ができる」

挿し木 その7

「表皮を破って根が出てくる」

挿し木 その8

  • 発根の見分け方
  • 順調に根が出てくれば、挿し木はほぼ成功です。しかし、毎日、挿し穂を引き抜いて確認していたらせっかく伸びだした根が切れてしまいます。そこで、発根の確認は次の手順で行います。
  • 数本の観察用の挿し穂を決め、1週間ごとに静かに抜いてみます。慣れてくると根が出はじめた挿し穂は、少し引いただけで軽く手応えを感じるようになります。
  • 育苗箱の底を見て、白い根が見えるか確かめます。
  • わき芽が伸びるのを待ちます。発根が確認できたら、複数の根が4~5cmに伸びたら、種子まきから育てた苗と同じく、ポリポットなどに鉢上げします。

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挿し木に適した用土は

挿し木では、切り口のふさがれていない穂を用土に挿します。そのため病原菌がいる可能性が低い未使用の用土で、通気性、保水性が高く、肥料分を含んでいないものを使います。ですから、腐葉土などは適しません。

草花では挿し穂の硬さにより、挿しやすい用土と挿しにくい用土があります。適しているのは、比較的丸い粒に成っている鹿沼土や軽量のバーミキュライト、繊維状のピートモスなどは、柔らかい茎のものでも挿しやすい用土です。

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