バラ苗の植え付け-1 バラの園芸・作業-イパネマおやじ
バラの苗には、大苗と新苗があり、大苗は前年の夏から冬に接ぎ木をして、1年間育成をした苗です。新苗は夏から秋に芽接ぎをするか、冬に切り接ぎをして春に出荷する苗のことです。その苗を選ぶにあたり、心がけたいポイントをまとめてみました。
大苗、新苗の植え付け
バラ苗はノイバラなどの台木に接ぎ木をして作られる
バラ株の部位の名称
接ぎ口を境に下部が台木、上部が枝葉を含む株でありバラの木になります。主幹は多くの側枝を出し、花を咲かせる枝です。
株により異なりますが寿命は5~6年です。初夏に株元から勢いよく伸びる枝がシュートといい翌年の主幹になる枝です。こうして主幹の世代交代をしながら、バラは花を咲かせ続けます。
大苗を植える
大苗とは、2年苗とも呼ばれ、前年の夏から冬に接ぎ木(8月から10月に芽つぎ、1月から2月に切り接ぎ)をして、1年間養成した苗です。
接ぎ木から1年後の10月末から翌年2月頃に市場に出回るのが大苗です。
- 大苗の選び方→
- 定説のように「太い枝が3本出ているものがよい」といわれますが、品種の性質や木の生育サイクルなどにより、育ち具合が異なるので、この説は正しいとはいえません。
- 1本でも堅くて太い枝(直径1.5~2cm)がある苗、または枝が細くても堅い枝がある苗、冬の苗であれば樹皮が寒さにあって赤紫色に変化した苗を選びましょう。
- 輸入苗の場合は、枯れ込みが無くて、少し芽が膨らんでいるものがよい。
植え付けの適期
秋植えは、年内に活着するので初心者にお奨めです。(伸びた芽や枝は絶対に切ってはいけません)
- 9月下旬から10月に植えつける場合→
- 新芽がのびてツボミもつきます。ということは、冬が来る前に根を張り、活着します。
- 芽や葉を切り取らないで、新芽を自然のまま伸ばします。植えつけて1ヶ月後には新芽は長さ20cm位の枝に生長します。
- 四季咲きの品種はツボミがついたら、ツボミだけ摘み取ります。ツボミがつき開花の準備ができた枝は充実し、樹皮が固まり、冬の寒さに耐えることができます。
例年10月下旬頃になると朝夕の気温が下がり、バラは生育を停止します。 - 11月中旬頃から初霜が降る時期になると、休眠に入り冬を迎えます。この頃になると新しく伸びた枝の樹皮は冬越しが出来るよう成熟しています。
冬に植える
- 流通している「大苗」は、株が充分に育っているので初心者にも安心して育てられます。11~2月のバラの休眠期が植えつけの適期です。
- 苗を購入したら、根を包んである水ゴケやピートモスを取り除き、根が乾燥しないように2~3時間程水に浸けておきましょう。
- 長い間花を咲かせるバラは、肥料を欲しがる植物です。元肥にはゆっくりとだが長期間の効果がある有機質肥料を施します。植えつけの際に、根と肥料が直接に触れないように注意してください。植えつけ後には、タップリと株元に水を施します。植木鉢の場合,鉢底から水が流れ出る位に施してください。
- 株元の水が引けたら、土をならして腐葉土や敷きワラなどでマルチングをしておきます。後は芽が出るまで、1週間に1回、バケツ1杯分だけ水を施しましょう。
3月に植える
- 2月下旬に堀り上げの苗は、生育状態が順調な苗が多い傾向にあります。
- 2月下旬になって、畑から堀り上げられた大苗はよく充実した苗で、植えつけ後の生育が順調にいきます。
- ただし、このような良質な苗は数が少なく園芸店でみつからなければ通信販売も含めて探してください。
新苗、大苗ともに大切なのは、株元の直径が1cm以上の枝が2~3本出ていて、枝に傷の無い苗を選びます。注意するのは、切り口が黒く枯れているもの、枝が脱水気味の、芽がふくらみ始めた苗は避けましょう。
鉢苗は、きちんと鉢に植えられているので、そのまま花を楽しめる利点があります。やはり、枝が太く葉に色艶があり株全体が整った苗を選びます。
新苗を植え付ける
新苗とは
新苗とは夏から秋に芽接ぎするか、または冬に切り接ぎをしてから数ヵ月後、5月の連休の頃に花やツボミ付きで売られのが新苗です。
新苗のよさは、実際に開花しているのを見て選ぶことが出来るよさがありますが、この花は植えつけの際に切り落とすので、購入時は長く花を楽しむことは出来ません。しっかりとした接ぎ口で葉の色が鮮やかで色艶があり、全体に節の詰まった苗を選びましょう。
- 節間が間のびせず、バランスよく伸びたもの。
- 葉色がよく、葉数の多い苗。
- 病気や害虫の食害痕跡がみえないもの。
- 台木の大きさが、直径1cm程のものがよい。
- 台木の大きさと、新芽の太さが揃っていること。
- 適期の2月に鉢上げしたものがよい。時期が遅れたものは、芽接ぎ苗の場合は枝が細く短い。また切り接ぎ苗は葉が少なくて、先が切ってある。
- 挿し木苗の場合、葉裏にハダニが付いていないかチェックしましょう。
- 新芽が伸びかけている、またはツボミが付いているもの、ブラインド・シュートが出ているものは大丈夫。
- 4月上旬頃で苗丈が30cmを越えるものは、温室などで加温している場合が多いので、寒さや遅霜に注意しましょう。
- 新苗の植えつけ方
- 適期は4~6月です。新苗は、春の4月~夏まで流通しています。
- 多くは枝が1本伸びてツボミが付いています。実物の花が咲いている苗なので、どんな花か確認できて苗が小さいので大苗に比べて値段が安いのも魅力です。
- ただし接ぎ口が外れやすいので、取り扱いは丁寧にしましょう。植えつけの基本は、ほぼ大苗と同じですが、強い風の対策用に支柱を立てること、株を生長させるために初年度は秋までツボミを摘み続けることで、花を咲かせないことが大切です。日当たり、風通し、水はけのよい場所を選びましょう。
- 事前に植え穴を、よく耕して掘り起こしておきます。根鉢をくずさずに植えたら、必ず支柱を立てて株を固定します。タップリ10リットルほどの水を施しましょう。
- その後も地面が乾いたらタップリと施します。株を生長させるために初年度は秋までツボミを摘み続けることで、花を咲かせないことが大切です。
- まとめポイント
- 新苗、大苗ともに大切なのは、株元の直径が1cm以上の枝が2~3本出ていて、枝に傷の無い苗を選びます。注意するのは、切り口が黒く枯れているもの、枝が脱水気味の、芽がふくらみ始めた苗は避けましょう。
- 鉢苗は、きちんと鉢に植えられているので、そのまま花を楽しめる利点があります。やはり、枝が太く葉に色艶があり株全体が整った苗を選びます。
類似ページ⇒バラ苗の植えつけ・シリーズ(ページリンク) バラ苗の植えつけー1|バラ苗の植えつけー2
園芸メモ・バラの栽培用語:接ぎ木⇒バラ苗の接ぎ木部分は地面の上に出して植えつけ、株周りはワラなどでマルチングをして、保温してください。