エリシマム 季節の花-秋まきの一年草-イパネマおやじ
エリシマム ( Erysimum ) は、開花期の春になると、茎頂部に総状花序を見せ、花径2cm程の小花を咲かせます。南ヨーロッパ~北半球を中心に約80種が分布します。原産地では多年草なのですが、国内では高温多湿の夏越しができず、一般的に一年草扱いされています。
秋まきの一年草
- 分類:アブラナ科エゾスズシロ(エリシマム)属 / 原産地:ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ、アジア
- 別名:ウォールフラワー、宿根チェイランサス、シべリアンフォールフラワー(品種により様々)
- 学名:Erysimum
- 園芸分類:一年草、二年草、多年草 / 耐寒性(強い -5℃)、耐暑性(多湿に弱い)
- 草丈・樹高:20~60cm
- タネまき:9月中旬~10月中旬
- 苗の植え付け:10月~11月(育苗後または市販の苗が流通する)
- 開花期:4月~7月(最盛期3月~6月)
- 栽培方法:地植え、コンテナ(鉢植え、プランター)
- 注:記載している各適期は温暖地(中間地)での目安です。タネまきや苗植えの適期を表示していますが、大まかな目安です。最近の気候変動により、地方別(関東地方、東北地方など)の適時期表示は難しくなっています。栽培地別の気候は、気象庁のページなどを参考にしてください。
- ※ 適期は発芽適温、生育適温などの数値を基準に判断してください。
- 気象庁ホームページ:地域別の気候情報はコチラ https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/cgi-bin/view/index.php
- 特徴
- エリシマムの仲間は、南ヨーロッパを中心に世界中で約80種が分布するアブラナ科エゾスズシロ属の一年草あるいは二年草、多年草です。原産地では多年草なのですが、国内では高温多湿の夏越しができず一年草扱いされます。
- その中でも、ニオイアラセイトウ(Erysimum cheiri)は、エゾスズシロ属の二年草または亜低木です。エゾスズシロ属の栽培種で花形がアラセィトウ(ストック)に似て、葉に芳香があることから名付けられた。国内では、帰化植物のエゾスズシロ(Erysimum cheiranthoides)などが北海道に自生しています。
- タネまきは、秋にまいて早春に咲かせるのが、最も育てやすいです。中でも、原種や開花するのに低温が必要なタイプは適期にまいて、寒くなる前にしっかりした株に育てる必要があります。早生品種の中には、早春にまいて初夏に咲かせるタイプや、7月~8月にまいて年内に開花させる品種もあります。他にも、開花に低音を必要としない、シュガーラッシュシリーズやベガシリーズなどもあります。
- 近縁種
- ニオイアラセイトウ(Erysimum cheiri)→別名は、チェイランサス。原産地はギリシャ。秋まき一年草(扱い)で、ストックに似た花形で花色は黄色、オレンジ色、赤色で強い芳香がある。草丈は30~80cm。エゾスズシロ属の栽培種。英名で、ウォールフラワーと呼ばれるように、石垣の隙間などの環境でも元気に育つ。エリシマムの仲間の中では、世界中で広く栽培されている品種。開花期は4月~7月。
- エゾスズシロ(Erysimum cheiranthoides)→原産地は、北半球の温帯。国内では帰化して北海道に自生する。近畿地域にも帰化して散見され、観賞用としても広く栽培されている。一年草・二年草で、草丈30~100cm。茎頂部に総状花序を見せ花径4~5mmの黄色の小花を咲かせる。アブラナ科エゾスズシロ属で国内では、当種の1種だけが知られている。
- エリシマム・アリオニー(Erysimum × allionii)→和名は、シべりアン・ウォールフラワー。原産地は南ヨーロッパ、西アジア。ニオイアラセイトウの改良品種で宿根草。草丈15~20cmで、黄色の花を咲かせる。耐寒性は強いが高温多湿に弱く、夏には枯れてしまうので一般的には一年草として扱われる。
- エリシマム・リニフォリウム(Erysimum linifolium)→別名は、チェイランサス・プルプレア。原産地は南ヨーロッパで、耐寒性多年草。夏の暑さや乾燥に弱く、一般的に夏越しが難しく一年草扱いされる。草丈20から30cmで、無事に夏越しできると、2年目程から茎が木質化する。花径15~20mmで、紫色のアブラナ科特有の4弁花を咲かせる。開花期は冬~春。
- 用土
- コンテナの場合、市販の草花用培用土または赤玉土(小粒)6:腐葉土4:の割合で混ぜ込んだ土を使います。(用土に市販の草花用培用土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をします)
- 酸性土壌を嫌うので、地植えの場合は植え付けの2週間程前に、深さ30cm以上に土を耕して苦土石灰(1㎡当たり100~200g)を混ぜ込んでおきます。さらに、植えつけの1週間程前に、土壌改良用の牛ふん堆肥または腐葉土を(1㎡当たり2~3kg)混ぜ込んでおきます。(更に水はけの悪い土壌は、川砂などを1~2割混ぜ込む)
- 肥料
- コンテナの場合、植え付けの際に用土の中に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。(用土に、市販の草花用培養土を使う場合、あらかじめ元肥が混ぜ込んである場合があるので、確認してから元肥の調整をしましょう)鉢底石を敷いて、苗を定植後の追肥は、10月~11月、3月~4月に2~3回、緩効性化成肥料を置肥、または月3~4回液肥を施します。
- 地植えの場合、植え付ける前に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。定植後の追肥は、基本的に必要ありません。(生育不良の場合は必要に応じて施す)
- 追肥の際は、植物の根や葉に直接肥料が触れないように注意しましょう。
日当たりと水はけのよい場所を好む
- タネまき 発芽適温20℃前後
- 適期は、9月中旬~10月中旬です。箱まき(セルトレイが便利)かポリポットまきにします。直根性で、あまり移植を好みません。寒くなる前にしっかりした株に育てる必要があるので、まく時期が遅れないようにしましょう。
- ポリポットまきの場合、市販の種まき用土か赤玉土(小粒)、またはバーミキュライト、ピートモスなどの清潔な用土を敷きつめ、数粒をまいたら5mm程の薄い覆土をします。乾燥しないよう水やりをしながら、日陰で管理します。本葉が5~6枚になって茎がしっかりしたら1本立ちにして、花壇やコンテナに移して定植します。(株間は25~30cm)
- 箱まき(セルトレイなど)の場合、市販の種まき用土か赤玉土(小粒)、またはバーミキュライト、ピートモスなどの清潔な用土を敷きつめ、数粒をまいたら覆土を5mm程の厚さにします。乾燥しないよう水やりをしながら、日陰で管理します。弱い苗を間引きながら本葉が2~3枚になり茎がしっかりしたら、ポリポットに移して仮植えします。更に本葉が5~6枚になって茎がしっかりしたら1本立ちにして、花壇やコンテナに移して定植します。
- 苗の植え付け
- 適期は、10月~11月です。苗が育ちすぎると根付きにくいので、本葉が5~6枚の時期に植え付けましょう。
- コンテナの場合、鉢底石を敷き、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土をコンテナに入れます。根鉢の根を傷めないように抜き取り、古い土を軽く落としてから植え付けます。根を土になじませて定植したら、植え付け直後にタップリの水を施します。(株間25~30cm、60cmプランターで2株が目安)
- 地植えの場合、「用土」と「肥料」の項目で準備しておいた先程の土壌に植え付けます。根鉢の2倍の深さと直径2.5倍の植え穴を掘り上げます。根鉢の根を傷めないように植え付け、土と根をなじませて定植したら、植え付け直後にタップリと水を施します。株間は30cm程で植え付けます。
- 植え替え
- 夏には枯れる一年草扱いなので、植え替えの必要はありません。
比較的寒さに強いが霜には当てないようにする
- 水やり
- コンテナの場合、土の表面が乾いたらタップリと水を施します。過湿に弱いので、冬季は控えめに施しましょう。(表土が乾いてから2~3日待ってから)
- 地植えの場合、降雨のみで基本的には必要ありません。
- 手入れ
- 花がら摘み→花後の枯れた花がらは、小まめに切り取ります。
- 病気→灰色かび病
- 害虫→アブラムシ、コナガ、ハモグリバエ
- 日当たり
- 日当たりと水はけのよい場所を好みます。
植物のある風景: